任意売却とフラット35|競売との違いと選ぶべきケースを元担当者が解説

返済が行き詰まったとき、「競売か任意売却か」という選択が生じます。

結論から言うと、選べる状況であれば任意売却の方が有利なケースがほとんどです。

ただし、任意売却にも条件があり、誰でも選べるわけではありません。この記事では両者の違いと、任意売却を選ぶべきケースを解説します。


競売と任意売却の違い

競売とは

債権者(機構)が裁判所を通じて強制的に不動産を売却する手続きです。所有者の意思に関係なく進みます。

任意売却とは

債権者の同意を得たうえで、所有者自身が不動産を市場で売却する手続きです。通常の不動産売却に近い形で進みます。

主な違いの比較

競売 任意売却
売却価格 市場価格の60〜70%程度 市場価格に近い価格
引越し時期 落札後に強制退去 買主と交渉で調整可能
近隣への公開 インターネットに物件情報が公開される 通常の売却と同じ(公開されない)
引越し費用 原則なし 買主との交渉で出るケースがある
残債 競売後も残る(より多く残る) 売却後も残るが、競売より少ない

任意売却を選べる条件

任意売却には、機構側の同意が必要です。一般的に以下の条件が求められます。

  • 売却価格が残債を下回る「オーバーローン」の状態であること(残債より高く売れるなら通常売却でよい)
  • 競売の申立てが行われていないか、申立て後でも取下げの余地があること
  • 買主が見つかり、具体的な売却条件が整っていること

競売の申立てがされた後でも任意売却に切り替えられるケースはありますが、時間的な余裕が少なくなります。


任意売却を選ぶべきケース

売却後も同じ地域に住み続けたい場合

競売は物件情報が公開されるため、近隣に知られるリスクがあります。任意売却であれば通常の売却と同様に進められます。

子どもの学校や生活環境を考慮したい場合

引越し時期を買主と交渉できるため、学期末まで待ってもらうといった調整が可能なケースがあります。

残債をできるだけ少なくしたい場合

売却価格が高いほど残債は少なくなります。競売の60〜70%より市場価格に近い任意売却の方が有利です。

引越し費用が必要な場合

任意売却では買主との交渉次第で、売却代金の一部が引越し費用として手元に残るケースがあります。競売にはこの仕組みはありません。


任意売却の注意点

業者の質に差がある
任意売却を専門とする業者は多いですが、対応の質には大きな差があります。複数の業者に相談し、比較することをおすすめします。

時間がかかる
任意売却は買主を探す必要があるため、通常3〜6ヶ月かかります。競売の申立てが迫っている場合は、早めに動く必要があります。

残債はなくならない
任意売却で家を売っても、売却額でローンが完済できない場合(オーバーローン)は残債が残ります。残債の扱いについては、事前に業者や弁護士と確認しておきましょう。


まとめ

競売と任意売却の違いをまとめます。

  • 任意売却は売却価格・引越し時期・プライバシーの面で競売より有利なことが多い
  • ただし機構側の同意と、買主が見つかることが条件
  • 競売申立て後でも切り替えられるが、時間的余裕が必要
  • 業者は複数比較し、残債の扱いを事前に確認すること

この記事を書いた人:フラット35専門の債権回収現場で20年以上勤務。数百件の案件対応経験をもとに、借り手側に役立つ情報を発信しています。

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