「競売になるまで、どのくらい時間があるの?」
返済が苦しくなった方から、よく聞かれる質問です。
結論から言うと、フラット35の場合、滞納開始から競売の申立てまでおおむね8〜12ヶ月かかるのが一般的です。ただし、これはあくまで目安であり、対応次第で大きく変わります。
この記事では、機構側の動きを踏まえた具体的なタイムラインと、各段階でできることをお伝えします。
目次
フラット35滞納から競売までの流れ
第1段階:滞納1〜2ヶ月目|督促フェーズ
返済が遅れると、まず機構(または委託を受けたサービサー)から電話・郵便による督促が始まります。
この段階は「まだ様子見」の時期です。担当者も「払い忘れかもしれない」という前提で動いています。この時期に連絡を入れれば、話し合いの余地が最も大きいです。
第2段階:滞納3〜5ヶ月目|案件化フェーズ
督促に応答がない、または返済が再開されない場合、内部で「要管理案件」として正式に担当者がつきます。
この段階から、返済条件の変更(リスケ)や猶予の交渉が本格的な議題になります。まだ交渉できるフェーズです。
第3段階:滞納6ヶ月前後|期限の利益喪失
フラット35の約款には「一定期間滞納が続いた場合、残債を一括で請求できる」という条項があります。これが期限の利益の喪失です。
この通知が届いた時点で、「分割で返済する権利」がなくなります。ただし、この段階でもまだ任意売却などの選択肢は残っています。
第4段階:滞納8〜12ヶ月目|競売申立て
期限の利益喪失後、交渉が進まない場合、機構は裁判所に競売の申立てを行います。申立てが受理されると、物件に「競売開始決定」の通知が届きます。
第5段階:競売開始決定後6〜12ヶ月|落札・退去
競売の開始決定から実際に落札されるまで、さらに半年〜1年かかるのが一般的です。落札後は新しい所有者への引き渡しが求められます。
各段階で取れる選択肢
第1〜2段階(滞納初期)でできること
- 機構・サービサーへの自主的な連絡
- 返済条件変更(リスケ)の申請
- 一時的な猶予の交渉
第3段階(期限の利益喪失後)でできること
- 任意売却への切り替え(競売より有利な条件で売却できる場合がある)
- 弁護士・司法書士を通じた交渉
- 個人再生・自己破産などの法的手続きの検討
第4〜5段階(競売申立て後)でできること
- 競売申立て取下げの交渉(任意売却が成立しそうな場合)
- 引越し費用の交渉(任意売却に切り替えた場合、買主との交渉で費用が出るケースがある)
競売になると何が困るのか
「競売でもいいか」と思う方もいますが、現場で見てきた限り、競売には大きなデメリットがあります。
売却価格が安い
競売での落札価格は、市場価格の60〜70%程度になることが多いです。任意売却に比べて売却額が低くなるため、残債(売却後も残るローン)が増えます。
引越しのタイミングをコントロールできない
任意売却であれば買主との交渉で引越し時期を調整できますが、競売では落札後に強制的な退去を求められます。
近所に知られるリスク
競売になると物件情報がインターネット上に公開されます。住所・間取り・写真なども掲載されるため、近隣に知られる可能性があります。
まとめ
フラット35の滞納から競売までの流れをまとめます。
- 滞納1〜2ヶ月:督促フェーズ(交渉の余地最大)
- 滞納3〜5ヶ月:案件化フェーズ(リスケ交渉が本格化)
- 滞納6ヶ月前後:期限の利益喪失(一括請求が可能になる)
- 滞納8〜12ヶ月:競売申立て
- 競売開始後6〜12ヶ月:落札・退去
どの段階でも「まだ手が打てる」タイミングはあります。ただし、段階が進むほど選択肢は狭まります。早めに動くほど、家を守れる可能性が高まります。
この記事を書いた人:フラット35専門の債権回収現場で20年以上勤務。数百件の案件対応経験をもとに、借り手側に役立つ情報を発信しています。