「住宅ローンが払えない…自己破産したら家はどうなるの?」「自己破産の費用はいくら?」――住宅ローンの返済が完全に行き詰まったとき、自己破産は借金をゼロにできる最後の手段です。しかし、代わりに自宅を手放すことになりかねないため、正しい知識と準備が不可欠です。
サービサー(債権回収会社)で20年間、数千件の住宅ローン破綻案件を担当してきた筆者が、自己破産の仕組み・手続きの流れ・費用・家族への影響まで、債権者側の視点も交えて徹底解説します。
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自己破産はすべての借金がなくなる代わりに、自宅を含む財産を手放す手続きです。住宅ローンだけが問題なら、任意売却や個人再生(住宅ローン特則)で自宅を残せる可能性があります。まずは弁護士に無料相談して、自己破産が本当に最適かどうかを確認してください。
目次
自己破産とは?基本の仕組み
自己破産とは、裁判所に申立てを行い、借金の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。住宅ローン・カードローン・消費者金融など、すべての借金が対象になります。
2024年の司法統計によると、自己破産の申立件数は全国で約7万4,000件。うち住宅ローンが原因の破産は約15〜20%を占めています。免責許可率は約97%と高く、申立てをすればほぼ確実に借金はゼロになります。
📊 自己破産の基本データ
| 年間申立件数 | 約7万4,000件(2024年) |
| 免責許可率 | 約97% |
| 住宅ローン起因の割合 | 約15〜20% |
| 手続き期間 | 同時廃止:3〜6ヶ月/管財事件:6〜12ヶ月 |
| 費用目安 | 同時廃止:30〜50万円/管財事件:50〜80万円 |
自己破産したら家(自宅)はどうなる?
結論から言うと、自己破産をすると自宅は原則として手放すことになります。これは自己破産の最大のデメリットであり、多くの方が最も心配されるポイントです。
住宅ローン返済中の場合
住宅ローンの返済中に自己破産すると、以下の流れで自宅を失います。
①抵当権の実行――住宅ローンには抵当権が設定されているため、破産手続きとは別に、金融機関が抵当権を実行(競売の申立て)します。サービサーの経験では、破産申立てから3〜6ヶ月で競売開始決定が出るケースが多いです。
②破産管財人による売却――管財事件の場合、破産管財人が自宅を任意売却することもあります。競売より高値で売却できるため、債権者にとっても有利です。
住宅ローン完済済みの場合
住宅ローンを完済していても、自宅の評価額が20万円を超える場合は換価処分の対象になります。破産管財人が売却し、その代金を債権者に分配します。
📌 自宅を残したいなら「個人再生」を検討
個人再生の住宅ローン特則を使えば、住宅ローンの返済を続けながら他の借金を大幅に減額できます。安定した収入があり、住宅ローン以外の借金が5,000万円以下でぁれば利用可能です。「家を残したい」という方は、自己破産の前にまず個人再生を検討してください。
自己破産の手続きの流れ【7ステップ】
住宅ローンがある場合の自己破産は、不動産という高額財産があるため「管財事件」として処理されるケースがほとんどです。以下が一般的な流れです。
| ステップ | 内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| ① | 弁護士に相談・依頼(受任通知の発送で督促ストップ) | 即日〜1週間 |
| ② | 必要書類の準備(住民票・給与明細・固定資産評価証明書等) | 1〜3ヶ月 |
| ③ | 裁判所に破産申立て | ②完了後すぐ |
| ④ | 破産手続開始決定・管財人の選任 | 申立後1〜2週間 |
| ⑤ | 管財人による財産調査・自宅の売却 | 3〜6ヶ月 |
| ⑥ | 債権者集会(通常1〜3回開催) | ⑤と並行 |
| ⑦ | 免責許可決定(借金ゼロに) | ⑥完了後1〜2ヶ月 |
全体の期間は6ヶ月〜1年程度です。弁護士に依頼した時点で受任通知が金融機関に届き、督促・取り立てがすべてストップするため、精神的な負担は大きく軽減されます。
自己破産にかかる費用
「お金がないから破産するのに、費用がかかるの?」と疑問に思われるかもしれません。自己破産の費用は主に、裁判所への費用と弁護士費用の2つに分かれます。
| 費用項目 | 同時廃止 | 管財事件 |
|---|---|---|
| 裁判所への予納金 | 1〜3万円 | 20〜50万円 |
| 弁護士費用 | 25〜40万円 | 30〜50万円 |
| その他(印紙代等) | 約2万円 | 約2万円 |
| 合計目安 | 30〜50万円 | 50〜100万円 |
住宅ローンがある場合は不動産があるため管財事件になることが多く、50〜100万円程度が目安です。ただし、以下の方法で費用負担を軽減できます。
法テラスの利用――収入が一定以下の方は、法テラス(日本司法支援センター)の弁護士費用立替制度を利用できます。月5,000〜10,000円の分割返済が可能で、生活保護受給者は返済免除になります。
弁護士費用の分割払い――多くの法律事務所が分割払いに対応しています。受任通知の発送後は返済がストップするため、その分を弁護士費用に充てるのが一般的です。
自己破産のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| すべての借金がゼロになる | 自宅を含む財産を失う |
| 督促・取り立てがストップする | 信用情報に5〜7年間登録される |
| 収入要件がない(無収入でもOK) | 職業制限がある(保険外交員・警備員等) |
| 差押え・競売を止められる | 官報に掲載される |
| 生活に必要な財産は残せる(99万円以下の現金等) | 連帯保証人に請求がいく |
家族への影響は?よくある誤解を解消
自己破産について最も多い相談が「家族への影響」です。サービサーとして多くの破産案件に関わってきた経験から、よくある誤解を解消します。
誤解①「家族の信用情報にも傷がつく」――これは間違いです。信用情報は個人単位で管理されるため、家族の信用情報には一切影響しません。ただし、配偶者が連帯保証人になっている場合は、配偶者に請求がいきます。
誤解②「家族の財産も取られる」――破産で処分されるのは本人名義の財産のみです。配偶者や子供名義の預貯金・財産は対象外です。ただし、破産直前に家族名義に移した財産は「財産隠し」として問題になります。
誤解③「戸籍に載る」――自己破産が戸籍や住民票に記載されることはありません。官報には掲載されますが、一般の方が官報を見ることはほぼないため、周囲に知られる可能性は低いです。
誤解④「会社をクビになる」――自己破産を理由に解雇することは不当解雇にあたります。ただし、保険外交員・警備員・士業(弁護士・税理士等)は手続き中に資格制限を受けます(免責許可で復権)。
自己破産と任意売却の関係
サービサーの立場から言うと、住宅ローンがある場合の自己破産では、自己破産の前に任意売却を行うことを強くお勧めします。理由は以下の3つです。
理由①引越し費用を確保できる――任意売却では、売却代金から引越し費用(10〜30万円程度)を控除してもらえる場合があります。競売ではこの配慮はありません。
理由②退去時期を調整できる――任意売却なら買主との交渉で退去時期を調整できます。競売の場合は、「落札者から明け渡しの強制執行を受ける可能性があります。
理由③管財事件の費用を抑えられる――自己破産前に自宅を売却しておけば、不動産がない状態で破産申立てができるため、同時廃止で処理される可能性が高くなり、予納金を大幅に節約できます。
💡 実務上のベストな流れ
①弁護士に相談→②任意売却を先行→③売却完了後に自己破産申立て→④同時廃止で処理。この順番で進めることで、費用を最小限に抑えつつ、引越し費用の確保が可能になります。この流れで進めた方の約70%が同時廃止で処理されています。
自己破産後の生活――再スタートに向けて
自己破産は「人生の終わり」ではなく、「経済的な再スタート」です。免責許可を受けた後の生活について知っておきましょう。
住まい――自宅を失った後は賃貸住宅に移ることになります。信用情報に事故情報が載るため、家賃保証会社の審査が通りにくくなる場合があります。公営住宅や保証人不要の物件を検討してください。
クレジットカード――5〜7年間は新規作成が困難です。デビットカードやプリペイドカードで代用できます。
新たな借入――同じく5〜7年間は住宅ローン・カードローンの審査に通りにくくなります。ただし、信用情報が回復した後は、再び住宅ローンを組むことも可能です。
仕事――資格制限は免責許可で解除されます。一般的な会社員であれば、仕事への影響はほぼありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 住宅ローンの残債が売却額より多い場合、差額はどうなりますか?
自己破産で免責許可が下りれば、住宅ローンの残債(売却額との差額を含む)はすべてゼロになります。例えば、ローン残高3,000万円で自宅が2,000万円でしか売れなかった場合、差額の1,000万円も免責の対象です。
Q. 自己破産は何回でもできますか?
法律上の回数制限はありませんが、前回の免責許可から7年以内の再申立ては免責不許可事由にあたります。ただし、裁判所の裁量で免責が認められるケースもあります。
Q. 自己破産すると年金はもらえなくなりますか?
いいえ。年金受給権は差押禁止財産であり、自己破産しても年金は受け取れます。将来の年金額にも影響しません。
Q. ギャンブルや浪費が原因でも自己破産できますか?
ギャンブルや浪費は免責不許可事由ですが、裁判所の裁量免責により、実際にはほとんどのケースで免責が認められています。反省文の提出や家計の見直しなど、誠実な姿勢を示すことが重要です。
まとめ――自己破産は「再スタート」の手段
住宅ローンが払えなくなったとき、自己破産は確かに「最後の手段」です。しかし、借金をゼロにして人生をやり直せる、法律で認められた正当な権利でもあります。
サービサーとして20年間、数千件の案件を見てきた結訓です。自己破産で再スタートを切った方の多くは、3〜5年後には安定した生活を取り戻しています。大切なのは、「恥ずかしい」「もう少し頑張れる」と先延ばしにしないことです。
特に住宅ローンがある場合は、自己破産の前に任意売却を行い、費用を抑えて円滑に手続きを進めることが重要です。まずは弁護士に無料相談して、あなたの状況に合った最善の方法を見つけてください。
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この記事を書いた人
住宅ローン専門のサービサー(債権回収会社)で20年間、数千件の延滞・破産案件を担当。銀行が教えてくれない「債権者側のリアル」をもとに、住宅ローンで悩む方が最善の判断をできるよう情報を発信しています。
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